執筆:小林明人

輸送コストの上昇が一つの要因

こんにちは。いつも弊社のメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、運送会社の経営者としての視点からお話をさせていただきます。

◇米価高騰、一つの原因

「令和のコメ騒動」とも言われる昨今の米価高騰には、「物流の2024年問題」が少なからず影響しています。
この2024年問題とは、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が設けられたことにより、1人あたりの労働時間が短縮され、結果として輸送能力が低下するというものです。
その補填として人員を増やせば、当然ながら人件費が増加し、輸送コストが上昇。これが最終的に、さまざまな物価に影響を与える構造となっています。

現在、あらゆる物の価格が上昇していることを、皆様も実感されているのではないでしょうか。もちろん、そのすべての要因が輸送コストではありませんが、大きく関係していることはご理解いただけるかと思います。

◇米輸送の実態

とりわけ米の輸送では、手積み・手降ろしが慣習として残っているケースが多くあります。たとえば、10トントラックに5kgの米袋を2000袋積み込み、運搬し、再び手作業で降ろす。その労力は想像を超えるものです。

また、米の運賃はこれまで非常に安価な印象が強く、担い手不足や政府の政策的支援もあって、ようやく適正水準に近づきつつあります。
こうして考えると、過去の「安い米価」は、“実は過酷な労働環境と低運賃によって成り立っていた。” そう言っても過言ではありません。

◇運賃上昇のその他の要因

燃料費の高騰はもちろんですが、トラック自体の価格も上昇傾向にあります。
トラックは実のところ消耗品の集合体であり、タイヤをはじめとする多くの部品の定期交換が必要です。
加えて、それらを整備するための工賃も年々上がっています。
つまり、トラック輸送にかかるあらゆるコストが増加しているのが現状です。

◇運賃コストについて

人件費や燃料費が輸送コストの大部分を占めることは、広く理解されているかと思いますが、車両本体に関わるコストは一般の方にあまり知られていません。
この「車両コスト」とは、購入費に加え、消耗品、車検・整備費、保険料、税金などを含みます。
企業経営の観点からは、これらの費用も運賃に適切に反映させなければ、事業の継続は困難です。
そして、これらすべてのコストに一定の利益を加えた金額が「適正運賃」となります。

◇運賃計算、私のセオリー

弊社の輸送部門は、もともと新聞折込を運ぶ目的で設立された経緯があり、当初はそれ以外の荷物に対する料金体系を持っていませんでした。
十数年前、その点に疑問を持ち、あらゆるコストを精査した結果、私なりの運賃計算のセオリーを確立しました。
それが、
「車両購入費×2÷総走行距離=1kmあたりの車両コスト」
という考え方です。
ここでいう総走行距離とは、その車両が購入から廃車までに走ると想定される距離を指します。
たとえば、500万円のトラックが50万km走ると見込まれる場合、
500万円×2÷50万km=20円/km
となります。
つまり、300kmの輸送業務なら、車両コストは6,000円。
これに人件費・燃料費・利益などを加えて、赤字にならない運賃を算出することができます。
もっとも、昨今の物価高騰を受け、この「×2」という係数についても見直しの必要性を感じており、現在検証を進めているところです。

◇本日のオススメ

昨今の物価高騰の中で、運賃上昇がその一因として「悪者扱い」されることがあります。
しかし、これまで異常な低価格が常態化していたという現実を、ぜひご理解いただきたく思います。
では、なぜそのような低価格が横行していたのでしょうか?
それは、運送業界に限らず、社会全体に「安ければ良い」という価値観が広く浸透していたからに他なりません。
ただし、物流の効率化によるコスト削減には大いに可能性があり、そこには希望も見出せます。
そのキーワードが「混載輸送」。
これまで単一商品を運んでいたトラックに、異なる商品の荷物を組み合わせて積載・輸送する方法です。
こうすることで、運行便数を減らし、全体として輸送コストを削減することが見込めます。
異業種で近隣に所在する企業様同士で、こうした取り組みを検討されてみてはいかがでしょうか。

~あとがき~

これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読みください。

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