執筆:小林明人
Webサーバーの引越しで実感
こんにちは。いつも弊社のメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
私たちが日常的に利用しているWebサイトの裏側には、実に多くの仕組みや専門用語が隠れています。
今回は、WordPressを直接操作されない方にとっては、少し難しく感じられる内容かもしれませんが、私自身の体験をもとに、名前がよく似たWebサイト用語について、できるだけわかりやすくご紹介いたします。
どうぞ最後までお付き合いください。

WordPress(ワードプレス)とは
Webサイトやブログを構築・管理するためのCMS(コンテンツ管理システム)と呼ばれるツールの一つです。
HTMLやプログラミングの専門知識がなくても、テーマやプラグインを使えば、比較的自由にデザインや機能をカスタマイズできるのが特長です。
世界中で広く利用されており、企業のコーポレートサイトから個人ブログまで、さまざまな場面で活用されています。
◇サーバー引っ越し体験記
現在ご覧いただいている本サイトを立ち上げてから、約4年が経ちました。
手をかけて育ててきた甲斐もあり、内容も充実し、ボリュームのあるホームページへと成長してきたと自負しています。
これまで、ある大手通信会社系レンタルサーバーを継続して利用してきましたが、さまざまな理由から、今回サーバーの引っ越しを決断することになりました。
なお、以下の文中、引っ越し前のWebサーバーを「旧サーバー」、移転先を「新サーバー」と呼ばせていただきます。
◇サーバー移転を決めた理由
旧サーバーについては、「操作性が悪い」「料金が高い」「サイトの表示速度が遅い気がする」といった、いくつかの不満がありました。
実は2年前にもサーバー移転を試みたことがあったのですが、当時は知識も経験も不十分で、うまくいかずに断念したという経緯があります。
その後、多くのWebサイト制作を重ねる中で自信がつき、今回あらためて再チャレンジする決意を固めました。
新サーバーについては、すでにお客様のサイトを複数管理させていただいている実績があり、操作面での不安はまったくありませんでした。
そしてちょうど、旧サーバーの契約更新が迫っていたこともあり、このタイミングで移転作業に踏み切ることにしたというわけです。
◇試行錯誤
「どうせ移行作業をするなら、失敗覚悟で一度手動でやってみよう!」と思い立ち、普段バックアップに使用しているプラグインを使わず、あえて手動での移行にトライすることにしました。
結論から言うと、結果は失敗に終わりました。
ただし、失敗の原因は移行方法そのものに問題があったわけではなく、主にSSL(暗号化通信)の設定とDNSの構成に起因するものでした。
※補足
SSL(Secure Sockets Layer)は、Webサイトと閲覧者の通信を暗号化する技術で、個人情報などを安全に送受信するために欠かせません。
URLが「https」で始まり、鍵マークが表示されていればSSLが有効です。
SSLが未設定だと、通信内容が盗み見られたり改ざんされたりするリスクがあり、最近のブラウザでは警告表示が出ることもあります。
閲覧者の信頼を得るためにも、SSL化は必須の対策です。

失敗の原因は、DNSの切り替え前に、新サーバー上でサイトの動作確認をしたかったことが発端です。
新サーバーでは無料SSLが提供されており、本番と同様の環境で確認したいと思ったのですが、そのSSLを有効にするには、ドメインのDNSレコードが新サーバーを指している必要がありました。
しかし、移行テスト時点では、ドメインのDNSネームサーバーは旧サーバーを指している状態です。
そのため、SSLを有効にするには旧サーバー側でDNSレコードを編集して、新サーバーのIPアドレスを一時的に指すように設定する必要がありました。ところが、旧サーバーにはDNSレコードを編集できる機能(管理画面)が提供されておらず、それができなかったのです。 結果として、新サーバーのSSLが機能せず、動作確認もできないまま、この手動移行は断念することとなりました。
さて、この意味を理解できましたか?
今回の本題は、ここからです。
◇用語の理解 ~DNSと名の付くものたち~
このような試行錯誤を通じて、Webサイトに関する用語には類似した言葉が多く存在し、それぞれを正確に理解していないと前に進めなくなる、ということをあらためて痛感しました。
先ほどの文章の中にも、「DNS」「DNSネームサーバー」「DNSレコード」など、“DNS”という語が付いた用語が3つ登場しました。
このように、Web関連の用語には一見似ているものや、言い回しの違いによって意味が少しずつ異なるものが多く存在しています。

◇「DNS」「DNSネームサーバー」「DNSレコード」の違いと関係性
Webサイトの運用やサーバー移転の際によく登場する言葉に、「DNS」「DNSネームサーバー」「DNSレコード」があります。
これらは似たような言い回しですが、それぞれ役割が異なり、正しく理解しておくことがとても重要です。
- まずDNS(Domain Name System)とは、インターネット上の住所録のような仕組みで、「ドメイン名(例:example.com)」と「IPアドレス(例:192.0.2.1)」を結びつけるための全体のシステムを指します。私たちがブラウザにドメイン名を入力すると、DNSの仕組みが裏で動き、正しいサーバーへ接続してくれるのです。
- このDNSの仕組みの中で、実際に住所録のデータを持っているのが、DNSネームサーバー(略して“ネームサーバー”と呼ぶことが多い)です。これは、各ドメインに関する情報(=DNSレコード)を保管し、誰かがそのドメイン名にアクセスしようとしたときに、「このドメインはこのIPですよ」と答えてくれるサーバーです。言わば、DNSの“実務担当者”です。
- そしてそのネームサーバーの中にあるのが、DNSレコードです。これは、「このドメインはどのIPアドレスを指すのか」「メールはどこに送るのか」「他のドメインへ転送するか」など、具体的な命令や設定内容を記述した情報です。
DNSレコードには、「Aレコード」「CNAMEレコード」「MXレコード」「TXTレコード」などいくつか種類があり、目的に応じて使い分けられます。

まとめると、
DNS | ドメインとIPを結びつけるための全体の仕組み |
DNSネームサーバー | DNS情報(レコード)を管理・提供する担当サーバー |
DNSレコード | ドメインの詳細設定を記述した具体的な命令情報 |
このように、3者は階層構造のような関係になっており、それぞれが連携することで、私たちはドメイン名だけで世界中のWebサイトにアクセスできるようになっているのです。
◇PHPと名の付くものも重要です

用語 | 役割 | 関係性 |
---|---|---|
PHP | Webサイトを動かすためのプログラミング言語 | すべての土台 |
PHPバージョン | PHP言語の世代・機能の違い | サーバーで選択する必要あり |
PHPファイル | PHPで書かれたプログラムファイル | WordPressの核となる部品 |
phpMyAdmin | データベース管理ツール(PHPで作られている) | WordPressの中身を見る窓口 |
◇結局は、プラグインで引っ越しました
手動での移行作業を試みたものの、トップページだけが表示されないという現象が発生しました。
原因を突き止めるためにあちこち設定をいじっているうちに、サイトの構成が原型をとどめない状態になってしまったため、思い切って一度すべてを削除し、最も得意とするプラグインによる移行を実行することにしました。
当初の計画では、タイムラグなしでの移行を目指していたのですが、結果として約1時間ほどサイトにアクセスできない時間が発生してしまいました。
それでも、最終的には無事に移行を完了できましたので、「めでたしめでたし」といったところです。
◇本日のオススメ
Webサイトに関連する用語には、一見似ているけれど意味の異なるものがたくさんあります。それぞれの違いを正しく理解しておくことは、サイト運営上、非常に大切です。
私の実感として、こうした用語はできるだけ略さずに使うことをおすすめします。
なぜなら、略称を使うことで本来の意味が正しく伝わらず、致命的なミスや誤解につながる恐れがあるからです。
Web関連の作業では、用語のほんのわずかな違いが、大きなトラブルの原因となることがあります。
だからこそ、「なんとなくわかったつもり」にせず、それぞれの言葉の意味と役割を丁寧に押さえておく姿勢が重要です。
略語や専門用語に振り回されず、自分の言葉で理解できるようになることは、Web運用における大きな安心感につながります。
“知らない” “自信がない” 用語が出てきた場合には、立ち止まって理解してから進むこと、これが結果的には一番の近道になる、そんなふうに感じています。
そしてそれは、Web関連作業に限らず、現代ビジネス全体に通じる部分だと思います。
~あとがき~
これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読みください。

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