執筆:小林明人

ラスターとベクター

日々の業務や生活の中で、私たちは当たり前のように画像を扱っています。
スマホで写真を撮る。資料に図を入れる。Webサイトに画像を掲載する。

では、その「画像ファイル形式」を意識して使い分けているでしょうか。

正直に申し上げると、私自身、これまで深く考えたことはありませんでした。
しかし改めて学び直してみると、これは知っておくべき基礎知識だと感じました。

今回は、画像データの種類について整理してみたいと思います。

◇なぜ知っておくべきか

例えば写真は、撮影データそのものがマスターデータになります。
一方で、ロゴマークやイラストのように「表示サイズが変わるもの」はどうでしょうか。
名刺サイズ、看板サイズ、Webバナーサイズなど、用途ごとに大きさが変わる画像は、どの形式で作り、どれをマスターデータとして保管するかが非常に重要になります。

ここを誤ると、

  • 拡大するとぼやける
  • 印刷に使えない

といった問題が起こります。

◇ポピュラーな形式

代表的な画像形式には、次のようなものがあります。

  • JPEG(Joint Photographic Experts Group)
  • PNG(Portable Network Graphics)
  • WebP(名称自体が正式名称)
  • BMP(Bitmap)
  • SVG(Scalable Vector Graphics)
  • GIF(Graphics Interchange Format)
  • TIFF(Tagged Image File Format)
  • HEIC(High Efficiency Image Container)
  • AI(Adobe Illustrator Artwork ※Adobe独自形式)

画像形式は、歴史上作られたものを含めると200〜300種類以上あるとも言われています。

◇2つの系統

画像形式は大きく、ラスター系ベクター系に分けられます。

ラスター系
画素(ピクセル)の集合体で構成される画像。
拡大すると粗くなります。
例:JPEG、PNG、WebP、BMP、GIF、TIFF、HEIC
→ 写真や複雑な色表現に強い。

ベクター系
数式で描画される画像。
拡大しても劣化しません。
例:SVG、AI
→ ロゴ、アイコン、図表に最適。

簡単に言えば、

  • 光や質感を扱うものはラスター
  • 数式で表現できるものはベクター

さらに単純化すると、

  • 複雑な色の集合はラスター
  • 線と面で構成されるものはベクター

と覚えると分かりやすいでしょう。

◇ラスターとベクターの変換

この2系統の変換には注意が必要です。
ベクターからラスターへの変換は、数式をピクセルに描画する処理なので比較的容易です。
しかしその逆、ラスターからベクターへの変換は、点の集合体をトレース(推測)して数式化する作業になります。
つまり、情報を逆算することになるため、元のデータを完全に再現することは原理的に困難です。

◇実は知りませんでした

ここで少し告白します。
何を隠そう、私自身、最近までラスターとベクターの違いを理解していませんでした。
30年近く前、弊社のロゴをデジタル化する必要がありました。当時はもちろん、そのような概念すら知りません。
スキャナーで紙のロゴを読み取り、Windows標準のペイントでひたすらなぞる。
なかなか骨の折れる作業でした。
そしてBMP形式でマスター保存。使用時にはPNGに変換して軽量化。
ところが、拡大するとどうしてもぼやけてしまう。
「なぜだろう?」
その疑問を調べる中で、ようやくラスターとベクターの違いを理解した次第です。

◇だからこそ

  • ロゴマークは最初からベクターで作る
  • 写真はラスターで扱う
  • 用途に応じて形式を変える

この基本を知っているかどうかで、後々の手間や品質は大きく変わります。

◇では、ベクターはどう扱うのか

ベクター画像は数式で描かれています。
そのため、線や曲線(ベジェ曲線)を編集できる専用ソフトが必要になります。
写真加工ソフトとは、少し世界が違います。

【ベクター対応アプリ】

代表的なものは次の2つです。

  • Adobe Illustrator
    ベクター編集ソフトの代表格。プロの現場では事実上の標準です。
  • Inkscape
    無料で使えるオープンソースソフト。個人利用や小規模制作なら十分実用レベルです。

私自身は、高価なIllustratorほどの機能は必要ないため、現在Inkscapeを勉強中です。

◇簡易的な方法

実は、PowerPointやExcelの図形機能でもベクター画像を作ることができます。

  1. 図形やオブジェクトを選択
  2. 右クリック
  3. 「図として保存」
  4. ファイル形式でSVGを選択

これでベクター形式のSVGとして保存できます。用途によっては、この方法でも十分でしょう。

◇本日のオススメ

ロゴマークのように形を変えてはならない画像は、ベクター形式でマスターデータを保管する。
もし現在、ラスター形式しかお持ちでない場合は、ベクター形式でのリメイクを検討されることをおすすめします。
将来の手間を減らす、ちょっとした投資になるのではないでしょうか。

~あとがき~

これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読みください。

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