中学校の部活動が、学校から地域へと大きく変わろうとしています。しかし、その現場では行政、学校、保護者、受け皿となる団体の間に温度差があり、責任の所在や運営方法など、まだ多くの課題が残されています。一方、こうした大きな仕組みの変化は、新たなサービスやビジネスが生まれるきっかけにもなります。今回は、部活動の地域展開の現状と課題、そしてその先に見えてくるビジネスの可能性について考えてみます。

変わる仕組み、そこに生まれる新たなビジネス

こんにちは。いつも弊社メールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。

文部科学省の主導で、中学校の部活動の地域移行(地域展開)が進められていることは、皆さんもお耳にされたことがあるかと思います。
自治体によって実施状況に差があるほか、行政、中学校、保護者、そして受け皿となる団体、それぞれの間にも温度差があり、まさに今は過渡期といえるでしょう。

制度が大きく変わるときには、さまざまな課題や新たなニーズが生まれます。
だからこそ私は、ここに新しいビジネスが生まれる「におい」を感じました。

◇そもそも、なぜ「地域移行」が必要となったのか?

大きなきっかけの一つは「教員の働き方改革」ですが、そのほかにも「少子化による部員数の減少」「専門性の高い指導体制の確保」といった課題を解決するために進められている政策です。
2026年度から2031年度までの6年間は「改革実行期間」とされ、休日については原則として期間内の地域展開の実現を目指して、取り組みが進められています。
一方、平日についても地域の実情に応じて改革を進めることとされていますが、休日のように改革実行期間内での原則実現を求めるものとはされていません。

◇それぞれの温度差

私が所属している柔道チームにも、行政から地域展開についてお声がかかりました。
一方、別の機会に中学校の先生とお話ししたところ、「この地域展開について、まだよく理解できていないので教えてほしい」と言われたことがあります。
また、保護者の方々も不安を抱えているようで、私のところにもよく相談が寄せられます。
制度としては進み始めているものの、実際に関わる人たちの理解や認識には、まだ大きな差があるように感じます。

◇責任者は誰?

未成年者が活動する集団で、特に気にしなくてはならないのが、「誰が子どもたちの安全管理を担うのか」という点です。
従来の学校部活動では、基本的に学校の管理下で活動が行われてきました。しかし、地域展開が進むと、学校部活動として行われる時間と、地域クラブなどが運営する時間とで、活動の管理主体が異なるケースが生じます。
事故やトラブルが発生した場合の責任関係についても、活動の運営主体や規約、保険の内容などによって異なってきます。
特に、地域展開の受け皿には任意団体なども多く含まれるため、「万一事故が起きたときは誰が対応するのか」「補償はどうなっているのか」といった点に不安を感じる保護者の方もいらっしゃるようです。
地域展開を進めるうえでは、こうした責任の所在や安全管理、保険などについて、あらかじめ明確にしておくことが重要だと思います。

◇部活動地域展開ビジネスの可能性

地域クラブを設立しただけでは、ビジネスとして成立させるのは難しいでしょう。
例えば、月謝が一人2,000円として、50名の会員を集めても月10万円です。そこから用具、施設、保険などの費用を賄うとすれば、それだけで事業として十分な収益を確保するのは容易ではありません。
ですから、単一の競技団体だけでビジネス化するには、相当高いハードルがあると言わざるを得ません。

では、どの部分にビジネス化の可能性があるのでしょうか。
一つ考えられるのが、競技ごとに個別の団体として考えるのではなく、競技の垣根を越えて、地域全体を一つの大きな仕組みとして捉える形です。

具体的には、自治体に対する制度設計やコンサルティング、地域クラブの運営支援、指導者の確保・配置、会員管理、会費徴収、保険手続き、施設予約などの事務代行といった分野です。

実際に、こうした地域展開を支援する事業やサービスは、すでに生まれ始めています。

そして、一定程度の規模になれば、企業スポンサーを獲得することも可能になるでしょう。
「自治体からの委託費」「参加者からの月謝・会費」「スポンサー収入」などを組み合わせることができれば、単一のクラブ運営とは違った形で、部活動の地域展開を持続可能なビジネスとして成立させられる可能性があります。

部活動の地域展開は、まだ制度も運営方法も固まりきっていません。だからこそ混乱もありますが、その一方で、これまでにはなかった新しい地域スポーツの仕組みやビジネスが生まれる余地もあるのではないでしょうか。

◇本日のオススメ

この問題について考える中で、あらためて感じたのは、「変化の中にはチャンスがある」ということです。
これまで当たり前だった仕組みが変わるとき、そこには必ず新たな課題が生まれます。そして、その課題を解決することが、新しいビジネスにつながることもあります。
そんな視点で世の中の変化を見てみると、思いがけないところで、新たなビジネスの種に巡り合えるかもしれません。

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