米から物価を考える

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昨年から続いた米の品薄や価格高騰も、ひとまず落ち着きを見せています。

スーパーの店頭でも以前のようにお米が並ぶようになり、「お米が買えない」という状況は解消されたように見えます。しかし、この先も現在の価格水準が続くのかというと、実はなかなか見通しが難しいようです。

◇価格が読みにくい理由

お米は農産物ですから、その年の天候に大きく左右されます。
猛暑や長雨、大型台風などが発生すれば、収穫量や品質に影響が出ます。近年は気候変動の影響もあり、以前にも増して天候リスクが高まっていると言われています。
さらに、生産に必要な肥料や燃料、農業資材の価格も上昇しています。
これまでのデフレ経済の中では、多くの事業者が価格を上げないよう努力してきました。輸送費や人件費も厳しく抑えられてきたのは、その一例でしょう。
しかし近年は物価上昇が続き、以前よりも価格転嫁が受け入れられやすい環境になっています。お米も例外ではなく、生産や流通にかかるコストが価格に反映されやすくなっているようです。

◇値下がりはしたものの…

新米シーズンを前に、流通業者や販売店では在庫調整が進んでいるとみられます。
その影響もあってか、ここ数か月でお米の価格はピーク時より下がってきました。
とはいえ、以前のように5kgで2,000円前後という水準まで戻っているわけではありません。
むしろ、これまでのお米が安すぎたのではないか、という見方もあるようです。

◇江戸時代のお米の価値で考えてみる

ここで少し面白い話を。

江戸時代には「1石(こく)=1両」という目安があったと言われています。
1石とは約150kgのお米のことで、成人一人が一年間に食べる量に相当するとされています。
また、1両の価値は換算方法によって幅がありますが、現代のお金でおおよそ10万円程度と説明されることがよくあります。
もちろん、江戸時代と現代では所得や物価の仕組みが大きく異なるため単純比較はできません。しかし、この考え方で計算すると、現在のお米の価格は歴史的な感覚から見ても極端に高いわけではない、と考えることもできます。
もっとも、これはあくまで雑学レベルの話です。

◇適正価格とは何だろう

お米の価格については、「高すぎる」「安すぎる」の判断が難しいところです。
消費者としては安い方がありがたいのですが、一方で農家の方々が継続して生産できなければ、将来的に国産米そのものが減ってしまいます。
生産コストや人件費、物流費の上昇を考えると、現在の価格帯については「以前より高く感じるものの、ある程度はやむを得ない」という見方もあります。
重要なのは、消費者が買えなくなるほど高くならず、生産者も継続して作り続けられる価格のバランスなのかもしれません。

◇品質にも変化が

近年は温暖化の影響から、お米の品質管理も難しくなっているそうです。
昨年よく耳にしたのが、カメムシによる被害です。
カメムシが吸汁したお米は「斑点米」と呼ばれ、品質評価が下がる原因になります。
そのため収穫後には、色彩選別機という装置を使い、一粒一粒の色を判定しながら不良米を取り除く作業が行われます。
この設備は非常に高価で、主にJAや集荷業者、大規模農家などが導入しており、個人農家が所有するにはハードルが高い設備です。
お米は収穫して終わりではなく、その後にも多くの手間とコストがかかっているのです。

◇知らなかった「無農薬米」表示

余談ですが、最近「無農薬米」という表示を見かけなくなったと思ったことはありませんか。
調べてみると、2004年から農林水産省のガイドラインにより、「無農薬」「減農薬」といった表示は使用しないこととされているそうです。
理由は、

  • 今年は農薬を使用しなかった
  • 以前は使用していた可能性がある
  • 周辺の農地から農薬が飛散する可能性がある

など、「完全に農薬が存在しない」と誤解されるおそれがあるためです。
普段何気なく見ている食品表示にも、さまざまなルールがあるものですね。

◇本日のオススメ

今回のお米の価格上昇を見て感じるのは、「安いことが当たり前ではない」ということです。

これまで日本では、米も運送費も人件費も、できるだけ価格を上げない努力が続けられてきました。しかし、その結果として、担い手不足や後継者不足といった課題も生まれています。

これは私たち中小企業にも共通する話ではないでしょうか。
「値上げしたらお客様が離れてしまうのではないか」
「競合より高くなってしまうのではないか」
そんな不安は誰しも抱えるものです。しかし一方で、利益が出なければ設備投資も人材育成もできません。

今回の米価高騰は、自社の商品やサービスの価格について改めて考える良い機会なのかもしれません。
価格だけではなく、その価格に見合う価値をお客様にきちんと伝えられているか。多くの経営者にとって、今まさに向き合うべき課題の一つではないでしょうか。

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