執筆:小林明人
弊社でも制度設計をしました
こんにちは。いつも弊社のメールマガジンをご覧いただき、誠にありがとうございます。
今回は、熱中症対策義務化にについてのお話しです。
◇義務化の背景
2025年6月1日より、職場における熱中症対策が義務化されたことはご存じかと思います。
これは、厚生労働省による労働安全衛生規則の改正によるもので、事業者には、従業員の熱中症予防のために「体制の整備」「対応手順の作成」「関係者への周知徹底」が求められています。 この義務化の背景には、近年の猛暑により熱中症による労働災害(特に死亡事故)が増加している実態があり、労働環境における熱中症対策の強化が急務となっていることがあります。

◇熱中症の指標
熱中症予防の指標としてよく使われるのが、WBGT(暑さ指数)です。 私自身、その存在は知っていたものの、詳しく理解していなかったため、今回あらためて調べ直しました。
WBGTの測定基準は以下の通りです。
- 屋外(直射日光あり)
WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度 - 屋内(または日陰)
WBGT = 0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度
……という計算式ではあるのですが、正直なところ分かりづらいため、弊社では「熱中症指数計(WBGT測定器)」を導入しました。
以下は、日本スポーツ協会や環境省などの指針を参考にした、WBGTに基づく指標です。
WBGT値(℃) | 危険度ランク | 運動に関する指針 | 対象者への注意点・備考 |
31以上 | 危険 | 運動は原則中止すべき | 特に子ども・高齢者の活動は厳禁 |
28~31未満 | 厳重警戒 | 激しい運動は中止。中程度以下の運動も、頻繁な休憩・水分補給が必要 | こまめな休憩・水分補給・氷やミストで冷却が望ましい |
25~28未満 | 警戒 | 十分な休憩と水分補給を行うこと | 高齢者や体力の低い人は無理をしないように |
21~25未満 | 注意 | 適切な水分補給を行えば通常通りの活動は可能 | 暑さに慣れていない人は慎重に |
21未満 | ほぼ安全 | 通常の運動が可能。ただし油断せずこまめな水分補給は必要 | 長時間の活動や直射日光下では注意 |

◇大まかなWBGT値
WBGT値は気温だけでは正確に算出できませんが、おおよその目安として
「気温の約90%(気温×0.9)」がWBGT値に近いようです。 あくまで参考値ですが、外出中などで熱中症指数計(WBGT計)を持ち歩いていない場合に一つの目安になると思います。
気温(℃) | 区分 |
35以上 | 危険 |
32~35程度 | 厳重警戒 |
28~31程度 | 警戒 |
24~27程度 | 注意 |
23未満 | ほぼ安全 |
◇弊社では
法令に基づく措置である以上、当然ながら弊社としても対応が必要となりました。
では、具体的に何をすればよいのか?
まず取り組むべきは、自社に合った「基準づくり」です。
弊社の労働環境は、大きく以下の4つに分類されます。
①事務所勤務
②出入荷業務
③営業外勤
④配送業務
このうち、①の事務所勤務は空調の効いた屋内環境であるため、熱中症のリスクは比較的低いと判断しています。
一方で、②③④の業務は屋外や倉庫、車両内での作業が伴うため、明確なルールを定める必要があると考えました。 そこで、以下のような基準を設けることにしました。
熱中症対策ガイドライン
2025/6/1
(株)アイコー21
(株)デリバリーアイコー
1. 基本方針
当社は従業員の安全と健康を最優先とし、気象条件に応じた熱中症予防対策を講じることを義務とします。特に夏季(6月~9月)はWBGT値をもとに行動管理を徹底します。
2. 適用範囲
- 配送中
- 倉庫内作業
- 外勤営業
3. WBGT値に応じた対応基準
WBGT値 | 気温(参考) | 危険度 | 倉庫内作業 | 配送業務/外勤営業 |
---|---|---|---|---|
25℃未満 | 28℃未満 | 通常運用 | 通常作業 | 通常運転 |
25.0~28℃未満 | 28℃~31℃未満 | 注意 | 水分補給を強化 | 運転中も小休憩で水分補給 |
28.0~31℃未満 | 31℃~35℃未満 | 警戒~厳重警戒 | 45分作業/15分休憩 | 荷下ろし時は10分休憩+補水 |
31.0℃以上 | 35℃以上 | 危険 | 30分作業/30分休憩 | 荷積み・荷下ろし前後に冷却と休憩 |
※WBGT値は環境省のサイトまたは倉庫設置の測定器で確認すること。
4. 倉庫内での対策
- スポットクーラー・送風機を活用する
- 休憩所に冷水・経口補水液を常備
- 保冷タオルや冷却スプレーを利用可とする
- 作業従事時間を確認しながら規定の休憩を取る
5. 配送中・外勤営業中の対策
- エンジン停止時でも日陰に停車し車内温度上昇を避ける
- 車内で待機が必要な場合は、サンシェード等を使用し車内温度上昇を避ける
- 水筒・スポーツドリンクなど飲料水を常時携行
6. 体調異変時の対応
- 少しでも頭痛・めまい・吐き気等の症状があれば、作業を即中止し、管理者に報告
- 意識レベルの低下が見られる場合は、すぐに冷却措置を実施(首元・脇・足の付け根)し、救急搬送を要請
7. 教育・訓練
- 熱中症対策の社内教育を、運行管理ミーティング時に実施
- 熱中症対応マニュアルとして、厚生労働省発刊の「働く人の今すぐ使える熱中症ガイド」を周知
https://neccyusho.mhlw.go.jp/download/assets/pdf/guide_pdf_all.pdf
8. 緊急連絡体制
- 緊急搬送が必要な場合は、社内通報とともに119番通報を優先
9. 罰則・遵守義務
- 対策の不履行や虚偽報告があった場合は、安全衛生規程に基づき指導・処分対象となることがあります
- このガイドラインはすべての従業員が遵守すべき社内規程の一部とします
以上
◇本日のオススメ
これだけの暑さですから、法令がある・ないにかかわらず、熱中症対策は不可欠であることは言うまでもありません。
皆さまもどうぞ、くれぐれもご自愛ください。 なお、弊社で策定したガイドラインはごくシンプルな内容ですが、よろしければそのままご自由にご活用ください。
~あとがき~
これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読みください。

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