執筆:小林明人

運送業の悩み

社長の小林明人です。

メールマガジンVol.18をお届け致しますので、お読みいただければ幸いです。

◇人手不足

少子高齢化による人手不足は、現代日本において最大の問題と言えるでしょう。とりわけ運輸業におけるドライバーのなり手不足は弊社にとっても他人事ではありません。

今回は、ドライバーという仕事に不可欠な運転免許制度にスポットを当ててお送りいたします。

◇免許証制度の問題

皆様もご存じのとおり、トラックやバスなど大型車両の事故を受けて、運転免許証制度が度々改正されています。その結果トラックドライバーが減少、運送業では大変悩ましい事態が生じています。

普通免許の重量制限

私が免許を取得したのは高校を卒業してすぐの1989年。当時AT限定はありませんでしたので、MTで車両総重量8トン未満(最大積載量5トン未満)まで運転できる免許です。

その後1991年にAT限定免許が登場し、2007年には普通免許で運転できる車両が車両総重量5トン未満(最大積載量3トン未満)に、2017年には車両総重量3.5トン(最大積載量2トン)に下がりました。

◇車両総重量と最大積載量

通称「8トン限定中型免許」では最大積載量5トンの車まで運転可能となっていますが、現実的には最大積載量が4トン以上の車は見たことがありません。

また、「5トン限定準中型免許」の上限である最大積載量3トンという設定も、最大積載量が2トン以上の車両は私の知る限り存在しません。

新普通免許で設定されている車両総重量3.5トンの車両についても同様で、最大積載量2トン車両に該当する車は、ハイエースなどのバンタイプ(最大積載量1.25トン)しか見当たりません。

それもそのはず、車両重量プラス積載量が車両総重量ですから、免許制度に置ける重量制限では積載量が車両重量を超えており、そのような車は転倒の危険が高く実存しないのもうなずけます。

※トラック名称と車両総重量、最大積載量についてはメルマガvol.2『トラックのお話』でお話ししていますので詳しくはそちらをお読みください。

◇弊社の事情

弊社のトラックはすべて車両総重量5トンを超えていますので、採用できるドライバーは8トン限定中型免許以上に限られてしまいます。

この免許を取得できたのは先の表の通り、2007/6/1までに取得した方ですので、1989/6/1までに生まれた方か、準中型免許(車両総重量7.5トン未満、最大積載量4.5トン未満)を別途取得された方に限定されます。

5トン限定準中型免許で運転できるトラックの導入も検討しましたが、折込チラシはなかなか重たいので、業務上の耐用性に確信が持てずにおります。

さらにAT限定免許が主流となったことも頭の痛いところで、新普通免許でAT限定の方を採用する場合、AT限定解除と準中型免許取得が必要です。

◇トラックドライバー不足

このような免許制度の改正も、ドライバー不足の原因となっていることがお分かりいただけたと思います。

かつては、普通免許さえ持っていれば4トントラックまで運転できたので、コツさえつかめばトラックドライバーとして働くことができました。しかし今は、普通免許だけではトラックを運転できない時代です。

物流業はあらゆる産業の要とも言えるでしょう。まだ一般の人々が深刻に捉えるレベルに至っていませんが、そう遠くない将来、非常に重大な社会問題になると思います。

◇問題を知っていただけると嬉しいです

運送業の事情についてお話しさせていただきました。直接的に関わりのある方は少ないと思いますが、我々運送業の現状を知っていただければ幸いです。

◇ドライバーという仕事の良いところ

何と言っても、“運転している間は心が自由”ということが一番の良いところです。

荷物の積み下ろしなどでコミュニケーションは必要ですが、オフィスや倉庫・工場勤務と違い、人と関わる時間が少ない仕事です。

もちろん安全運転に配慮した上でのことですが、運転している間は、何を考えていても、それこそ大声で歌っていても良いのです。

自由な環境がお好きな方はこの仕事に向いていると思います。学生時代にトラックドライバーのアルバイトをした私の感想です。

◇本日のオススメ

普通免許とひと口に言っても取得した年代によって運転できる車が違うことをご理解いただけたと思います。

運送会社でなくても、少し大きめな車を運転する業務があるかもしれません。

そのような可能性を感じられたら、従業員が業務上でうっかり免許条件違反にならないように、一人ひとりの運転免許証と、お使いになる車の車両総重量と最大積載量を確認されておくと良いと思います。

また、従業員に準中型免許などを取得させる場合は、あくまでも個人の資格となるわけですから、取得に掛かる費用は本人の負担とした方が良いと考えます。

しかし全額自己負担となると結構な金額ですので、労使合意の上で貸付としてはどうでしょうか。さらに補助金などを活用し負担額を軽減させることで、双方が納得のしやすい条件が整うと思います。

~あとがき~

これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読み下さい。

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