執筆:小林明人

考え抜いて得たヒント

弊社がある流通団地内の食堂。団地の組合が運営していることから、組合理事としてその経営に携わっております。

組合直営としてオープンしたのが昨年。それまでは外部委託方式でしたので、経営そのものに直接タッチすることはありませんでした。

もちろん、私にとっては専門外の分野です。

広告マンの私が、本当にお客様の視点に立って貴重な体験をさせていただきましたので、今回はそのお話しをさせていただきます。

◇メニュー作り

まずメニューを検討。

そば、うどん、ラーメン各種、パスタ各種、カレー、各種定食など、豊富なラインナップでスタート。

オープン後は、お客様のご意見をいただいてさらにメニューを追加していきました。

こちらが開店当初のお品書きです。
(注)現在は別メニューになっています。

◇いざ開店

お店から発信するインスタや地元の飲食系ユーチューバーさんたちのおかげもあり、それなりの賑わい、安くて美味しいとの評価をいただくことができました。

しかし、毎月の収支が、、、。

“組合の食堂ですから”

“福利厚生が目的ですので”

良いと言えば良いのですが、なんとかできないものかと、月に一度の定例理事会では毎度議論となりました。

◇収支を改善するには

改善案を探すためにまず現状確認です。売上につながる3つの要素、来店客数、客単価、来店頻度について検討しました。

(1)来店客数

営業時間は11:30から14:00、ランチタイムの2時間半だけ。
食堂スタッフと組合事務職員が切り盛りします。

お客様は、組合員企業にお勤めの方や、一般の方を含めて少なくとも10名で、日によって30名を超えることもあり、決して少なくはありません。

(2)客単価

500円から600円というところ。

今のご時世としては低価格ですが、福利厚生の一環ですので、このラインは守りたいところです。

(3)来店頻度

「量」と「メニュー」にこだわり、リピーター確保を狙いました。

ごはん、お味噌汁、数種類のお漬物はセルフでお好きな量をお取りいただくシステム。
また、前述のとおりメニューは豊富なラインナップ。

おなかいっぱい満足してお帰りいただき、今度は○○を食べようと思っていただければ満点です。

◇閃いた改善策

概ねやれることは形にしており、しばらく様子を見たいとも思いましたが、ふと、一つ疑問が浮かびました。

それは、幅広い層をターゲットにして、お客様のニーズにあわせてメニューを拡大したことによって、仕入れ過剰になっているのではないか?というものです。

気付いてしまえば目から鱗。

そこで、思い切ってメニューを減らすことにしました。

出来上がったメニューは、こちら。
※現在のメニューです。

  

おすすめは、コンビセット。

5つのアイテムの内2種類のチョイスで15種類の構成がうまれるという優れモノ。選択肢を提供することでお楽しみ感がプラスされます。

実はこのアイデア、私が学生時代によく通っていた、神田・お茶の水周辺に何店舗もあった洋食店を参考にさせていただきました。

そして、その効果はすぐに表れ、以前より多い来店客数を安定的に確保できるようになり、仕入れロスも大幅に軽減することができました。

今も少しずつ進化を続け、醤油、ソース、一味唐辛子という一般の調味料に加え、タルタルソース、マヨネーズ、和からし、粉チーズなど、いわゆる「味変(あじへん)」ができるような工夫もしています。

◇今後の課題

このメニュー編成にあたっては、理事の中で最もヘビーユーザーという理由で、私の意見が大きく取り入れられたため、男性好み、大食漢好みになっていることは否めません。その辺りが、さしあたっての課題だと考えています。

【本日のオススメ】

ビジネスにおいて、取扱品目を増やすということは、売上増の分かりやすい方法です。しかし、そこに仕入れや人員増を伴う場合、そのロスも考えなければなりません。

品目を減らすことでかえって良い結果をもたらすケースがあることを、このことを通じて体験しました。

皆様のアイデアの一助になれば幸いです。

~あとがき~

これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読み下さい。


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