執筆:小林明人

大人の学び

昨年3/11に掲載した「vol.30『四十の手習い』」は、一年以上経過した今でも多くの方にご覧いただいており、最も人気のある記事になっています。

「四十の手習い」では、私が所属する柔道チームの小中学生のお父様とお母様方、年齢層としては30歳代から40歳代のチャレンジを取り上げさせていただきましたが、今回も同じ柔道チームの、もっと若い大人たちのお話をさせて頂きます。

題して、「二十歳の手習い」。どうぞお付き合いください。

◇幅広い年齢層

このチームには、未就学児からご高齢の方まで、幅広い世代の方が所属し、現在会員数は100名を超えます。10年前までは大人といえば指導者がほとんどで子どもと指導者だけの団体でしたが、「四十の手習い」でご紹介したように、小中学生の親御さんを中心に指導者以外の大人も多くなりました。

そして、昨年から、今回のテーマとなる、二十歳前後の大人たちが続々と増えております。

◇楽しむ柔道

彼らは、少年時代に当チームに限らず柔道をしていたいわば“リスタート組”と、まったくの初心者である“ゼロスタート組”で、いずれも大会での勝利を目指すのではなく、“楽しむ柔道”をしています。

リスタート組は「現役でバリバリやっていた時と違って楽しい」と、ゼロスタート組は「柔道ってやってみると楽しい」と言います。

◇始めたきっかけ

さて、なぜ彼らが二十歳前後でリスタートやゼロスタートをしたのか。

話を聞いてみると、ラインやインスタグラムなどSNSでの繋がりがきっかけで、「柔道に行くけど、一緒にどう?」などの発信に呼応して徐々に集まってきたそうです。

◇目から鱗

ある日、元教え子と、未経験のその友達が入会しました。二人とも当時21歳です。

私たち指導者はその初心者の彼に対して、さてどのような教え方をするかと相談していたのですが、ふたを開けてみれば私たちが手を出すこともなく、同世代の仲間たちが入れ替わり立ち代わり手ほどきをして、いつの間にか試合をできるレベルになっていました。

これには目から鱗。指導者の誰もが、“初心者には手取り足取り教えなければいけない”という固定観念をもっていましたが、それがほぼ必要なかったのです。

そしてその仲間たちも教えるのが大変上手い。指導するというよりも、やって見せて、できるまで一緒にやってみる、そして疲れたら休むというスタンスです。

◇学び合い

それを見てふと気づいたこと、それは“学び合い”。このチームのある牛久市では、この年代の小中学校は“学び合い”という授業方式でした。

先生の講義を受ける一斉授業ではなく、四人程度のグループで、お互いに相談しあいながら結論を出して行くもので、「仲間から教わる」「仲間に教える」「一緒に考える」ということが身についており、柔道においても自然と“学び合い”が発生したのです。

◇楽しさは世代共通

さてこの若い大人たち、大学生もいれば、社会人もいます。

そんな彼らがなぜ柔道をするのか、個々に聞いてみましたが画一的な答えはありません。ただし皆、このチームでの人との関わりを気に入っているようです。

また、正式な入会に至らずとも、ちょくちょく顔を出す若い世代もたくさんいて、自ら稽古をするばかりでなく、指導のお手伝いをしてくれます。

そして、気づけば、少年柔道チームから、全世代型のチームへと変貌を遂げました。その点において、若い大人世代が大きく寄与していることは間違いありません。

◇本日のオススメ

さて、地域スポーツチームに限らず、このような任意団体は、往々にして運営の中心が高い年代に偏り、“いかに若返りを図るか”という悩みが多いようです。

その解決において、運営サイドが深入りしない自発的な“SNSコミュニティー”そして “学び合い”が必要と感じております。 

これは、企業活動においても参考にすべき点が多いのではと思い、今回のテーマにさせていただきました。参考にしていただければ幸いです。

~あとがき~

これからも、皆様のお役に立ちそうな気になることを掲載してまいりますので、どうぞお読み下さい。


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